近年増加傾向にある悪質な自動車事故に対する罰則強化を求める声が、交通事故被害者や遺族から高まったことを受け、平成13年の刑法改正により危険運転致死傷罪が新設された。 これは交通事故だけに適応される刑法で、刑法211条を改正する形で制定された(刑法第208条の2)。 平成13年12月5日に公布、同25日に施行された(対象は四輪以上である点に注意!)。アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で四輪以上の自動車を走行させる行為。 進行を制御することが困難な高速度で、又は進行を制御する技能を有しないで四輪以上の自動車を走行させる行為。 人または車の通行を妨害する目的で、通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で四輪以上の自動車を運転する行為。 赤色信号またはこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で四輪以上の自動車を運転する行為により死傷事故を起こした場合、死亡事故で1年以上15年以下の有期懲役、負傷事故で10年以下の懲役が科せられる。 従来、交通事故を一律に「過失」として、業務上過失致死傷罪で処罰してきたが、悪質、危険な運転による死傷事犯は「故意」とし業務上過失致死傷罪(懲役5年以下)に比べ、大幅に引き上げられました。
2007年5月、刑法に「自動車運転過失致死傷罪」が創設され、同年6月に施行。これより、自動車の運転中に過失による人身事故を起こした場合には、「業務上過失致死傷罪」(懲役・禁固5年以下、100万円以下の罰金)ではなく、「自動車運転過失致死傷罪」(懲役・禁固7年以下、100万円以下の罰金)が適用されるため、刑が重くなります。自動車にはオートバイも含まれます。
5年以下の懲役もしくは禁固又は100万円以下の罰金 7年以下の懲役もしくは禁固又は100万円以下の罰金 今回の刑法改正は、「業務上過失致死傷罪」(懲役・禁固5年以下)と「危険運転致死傷罪」(死亡させた場合は懲役1年以上20年以下、負傷させた場合は15年以下)の間にある大きなギャップを埋める試み。審議中の道路交通法改正案も成立すると、飲酒運転によって死傷事故を起こし、道路交通法と自動車運転過失致死傷罪に併せて問われた場合、酒酔い運転の最高刑は現行の懲役7年6ヵ月から10年6ヵ月に、酒気帯び運転は懲役6年から10年になります。